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相続土地の国庫帰属制度って何?注意点や申請手順をわかりやすく解説

相続/空き家/終活

青野 功治

筆者 青野 功治

不動産キャリア15年

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「相続した土地をどうすれば良いか…」と悩む方が増えています。そのような中、2023年にスタートした「相続土地国庫帰属制度」は、土地相続に関する新たな選択肢として注目されています。しかし、利用にはさまざまな条件や注意点も存在します。この記事では、この制度の概要や対象者、手続きの流れから、思わぬ落とし穴を避けるためのチェックポイントまで、わかりやすく解説します。ご自身やご家族の大切な土地をどうするか迷っている方、ぜひ最後までご一読ください。

制度概要と対象者

相続土地国庫帰属制度とは、相続または相続人への遺贈によって取得した土地(宅地・田畑・森林など)について、管理負担の大きい不要な土地を国に引き渡すことができる新しい制度です。これまでは「所有者不明土地」の増加が社会問題となっていましたが、本制度は相続登記の義務化(令和6年4月施行)と併せ、土地の適切な管理と国土利用の改善を目的として創設されました 。

制度の利用対象者は、相続または法定相続人に対する遺贈によって土地を取得した相続人です。共有名義の土地でも、共有者全員が共同で申請すれば利用可能です。ただし、生前贈与や売買などにより取得した場合、また法人が取得した場合は対象外となります 。

本制度は、令和5年4月27日より施行されており、それ以前に相続した土地でも対象になります(ただし、遺贈については法定相続人に限る点に注意が必要です) 。

以下に、本制度の概要と対象者を分かりやすくまとめます。

項目内容備考
制度の目的不要な相続土地を国へ帰属させ、所有者不明土地の発生を防止相続登記義務化との相乗効果
対象者相続人または法定相続人への遺贈で取得した者共有の場合は全員の同意が必要
制度開始令和5年4月27日〜以前の相続も対象、遺贈は法定相続人に限る

対象外となる土地の条件と却下・不承認の要件

相続土地国庫帰属制度を利用する際は、まず「申請自体ができない土地(却下事由)」と、「申請したものの国庫帰属が認められない土地(不承認事由)」の違いを正しく理解することが重要です。以下に、代表的な要件を整理しました。

区分主な事由具体例
却下事由(申請不可)建物の存在空き家や住宅が建っている土地
却下事由(申請不可)担保権・使用収益権抵当権、地上権、賃借権などが設定された土地
却下事由(申請不可)他人使用・特定用途道路・墓地・境内地・水道用地など実際に利用中の土地
却下事由(申請不可)土壌汚染有害物質が含まれ、除去が必要な土地
却下事由(申請不可)境界不明・権利争い所有権や範囲について争いがある土地
不承認事由(審査後)過大な勾配・崖勾配30度以上かつ高さ5m以上、擁壁が必要な斜面地
不承認事由(審査後)地上の有体物廃車、枯れ木、老朽塀など撤去・管理が困難な物
不承認事由(審査後)地下の有体物埋設された井戸、配管、基礎コンクリートなどが残る土地
不承認事由(審査後)通行障害・使用妨害袋地、公道への通行権がない、隣地との排水トラブルなど
不承認事由(審査後)災害リスク等土砂崩れや陥没、被害防止に措置が必要な土地

特に申請前には、ご自身の土地がこれらに該当しないか慎重に確認することが求められます。誤って申請してしまうと、審査手数料(1筆あたり14,000円)は返ってきませんのでご注意ください。

例えば、境界が曖昧な土地は測量や境界標の設置により明確化する努力が可能な場合もあります。また、崖がある土地では専門家による事前評価を踏まえて判断することが望ましいです。実際の現地状況に応じて、法務局への相談や専門家の助言を受けながら進めることをおすすめします。

費用負担と申請手続きの流れ(注意点含む)

この制度を利用するには、以下のように「審査手数料」と「負担金」という二つの費用負担が必要です。まず、申請時には土地1筆につき14,000円の審査手数料を申請書に貼付する収入印紙で納めます(なお、不承認や取り下げの場合でも返還されません)。

費用区分概算金額備考
審査手数料14,000円/筆申請時、収入印紙で納付・返還なし
負担金基本20万円(宅地・田畑・雑種地等)市街化区域や農地・森林では面積比例の算定もあり
負担金(森林など)面積に応じて算定(例:数十万円~)面積増で1㎡あたり単価が低減

次に、具体的な手続きのステップと注意点を整理します。ステップとしては(1)事前相談 →(2)申請書類準備および提出 →(3)審査・承認 →(4)負担金の納付 →(5)所有権移転という流れになります。

(1)まず法務局に事前相談が必要です。土地の所在地を管轄する法務局・地方法務局本局で予約して対面または電話で30分程度相談を受けられます。事前に、「相談票」「チェックシート」「土地現況がわかる資料や写真」などを準備しましょう。

(2)その後、承認申請書や図面、写真、申請者の印鑑証明書等の書類を揃えて提出します。申請には収入印紙を貼って手数料を納付します。申請を取り下げた場合でも手数料は返還されない点にご注意ください。

(3)法務局による書類審査と必要に応じて実地調査が行われ、要件を満たせば承認され、承認通知とともに納入告知書が届きます。

(4)納入告知書を受領した翌日から30日以内に、負担金を日本銀行または歳入代理店に納めます(なお法務局窓口での現金支払いは不可)。期限を過ぎると承認が失効し、再度初めから申請し直す必要があります。

(5)負担金の納付がなされると、所有権は国に移転し、登記は国が行います。申請者が登記手続きをする必要はありません。

以上のように、複数回にわたるやり取りと一定の費用負担が必要です。特に手数料の返還不可、納付期限の経過による失効リスク、書類や事前準備の漏れによる手続の滞りなどに注意し、事前にしっかり準備なさることをおすすめします。

制度利用前に確認しておきたいポイントと注意事項

制度利用をご検討の前に、まず「本当に土地を手放してよいのか」という視点から検討することが重要です。将来的に売却や海外移住、賃貸などの活用計画がないか、そもそもニーズが将来発生する余地はないのかを慎重に判断してください。一度国に帰属させた土地は原則として元に戻せないという重大な制約がありますので、今後のライフプランや家族の意向も含めて十分に見極めましょう。

共有名義の土地で申請を行う場合は、共有者全員の同意が不可欠です。たとえ相続によって共有持分が取得されていても、共有者の一部だけでの申請は認められません。全員の同意がないと申請自体が受け付けられないため、家族間での調整や書面での合意形成が必要です。

申請書類については、最新様式を使用することが求められます。令和5年12月に申請手引きが改訂され、承認申請書など必要書類のフォーマットや記載事項が見直されています。古い様式を使うと審査時に不備とされ、手続きが遅れるおそれがあります。また、相談時には法務局予約サービスを活用し、事前に相談票やチェックシート、土地の登記簿・写真などを用意しておくとスムーズに進められます。

確認項目具体的にチェックすべきこと
土地の活用可能性売却、賃貸、利用計画が本当にないか、将来の可能性も含め検討
共有者の同意共有者全員の合意があるか、必要に応じて書面で確認
最新様式の使用令和5年12月改訂の手引きを基に申請書類を準備

まとめ

相続土地国庫帰属制度は、相続した土地の管理や処分に悩む方にとって選択肢となる新しい仕組みです。ただし、すべての土地が対象となるわけではなく、申請段階や審査で却下される場合もあります。また、費用や手続き、期限などにも注意が必要です。制度の利用前には、他の活用方法がないか、また一度帰属した土地は戻せないことなどをしっかり確認しましょう。事前の情報収集と準備が、円滑な対応につながります。

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