
宅地建物取引士試験の難易度はどのくらい?合格率や勉強法も解説
本日、2025年10月19日は1年に1回の宅地建物取引士試験日です。
今回は、当社社員も受験する宅地建物取引士試験のご紹介となります。
宅地建物取引士試験は、毎年多くの受験者が挑戦する人気の国家資格ですが、その難易度について正しく理解できている方は意外と少ないかもしれません。本記事では、最新の合格率や他資格との比較、出題構成と合格基準、さらに効率的な学習方法までを詳しく解説します。「自分にもできるのか」「どんな準備が必要なのか」と不安や疑問をお持ちの方も、読み進めるうちに合格への具体的なイメージがきっと掴めるはずです。
宅地建物取引士試験の難易度の現状
宅地建物取引士(宅建士)試験の2024年度(令和6年度)における合格率は18.6%、合格点は50点満点中37点でした。受験者数は過去最多の241,436人で、合格者は44,992人という結果です。
近年の10年間において、合格率は概ね15~19%の範囲で推移しています。例えば、2023年度(令和5年度)は合格率17.2%、合格点36点、2022年度(令和4年度)は合格率17.0%、合格点36点でした。
全国的に受験者数が多いことも特徴で、2024年は24万人を超える受験者数であり、不動産関連国家資格として非常に人気が高い試験であることがうかがえます。
こうした合格率の推移からも分かるように、宅建士試験は難易度が高いとされますが、他の国家資格と比べると相対的には挑戦しやすい側面もあります。例えば、司法書士試験の合格率は約5.3%、行政書士試験は約12.9%とされ、宅建士はそれらより合格率が高く、学習時間の目安も200~300時間と比較的短めです。
| 試験名 | 2024年度 合格率 | 学習時間の目安 |
|---|---|---|
| 宅建士 | 18.6% | 約200~300時間 |
| 司法書士 | 約5.3% | 約3,000時間 |
| 行政書士 | 約12.9% | 約500~1,000時間 |
宅建士試験は相対評価方式を採用しており、合格ラインは受験年により異なりますが、受験者の上位15〜19%程度が合格するよう設定されます。つまり、一律に「○点で合格」ではなく、その年の受験生の得点分布によって決定される点が試験の特徴です。
試験の出題構成と合格基準
宅地建物取引士試験は、以下のような出題構成と合格基準になっています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 出題形式 | 4肢択一式(マークシート方式)、全50問 |
| 科目構成 | 権利関係:約14問、法令上の制限:約8問、税その他:約3問、宅建業法:約20問、免除科目(登録講習修了者):5問 |
| 配点 | 原則1問1点、免除対象者は45問中の点数計算 |
このように科目別の出題数と配点を理解することで、学習の優先順位を明確にできます。とくに出題数の多い宅建業法や権利関係は得点源になりやすく、効率的な学習計画を立てる際に重要です。ただし、すべての科目で一定の得点が求められる相対評価方式のため、苦手科目のままで放置しないよう注意が必要です。
試験の合格基準は相対評価で決まるため、固定された点数ではなく、年度ごとの受験者全体の得点分布によって変動します。近年の合格点は全50点中34~38点の範囲で推移しており、2024年度(令和6年度)では37点が合格ラインでした。
また、登録講習修了者に対しては5問免除制度が適用され、45問中の得点で判定されます。その年度の合格ラインが34点だった場合、免除者は29点以上で合格となるなど、一般受験者よりも実質的に優遇されています。
効率的な学習準備のポイント
宅地建物取引士(宅建士)試験の効率的な学習を進めるには、勉強時間の目安や学習期間の見立て、そして過去問や模試を活用したアウトプット中心の演習が重要です。以下の表では、受験者タイプ別の勉強時間目安と学習スタイルを整理しています。
| 受験者タイプ | 勉強時間の目安 | 学習スタイルのポイント |
|---|---|---|
| 社会人 | 300〜500時間 | 通勤中などスキマ時間や音声教材活用 |
| 学生 | 300〜400時間 | まとまった時間で過去問の反復学習 |
| 初学者(未経験者) | 500時間以上 | 基礎理解重視、段階的に応用へ |
社会人では勉強時間が多く取れない方も多いため、通勤時間や昼休みなどのスキマ時間を活用し、音声教材や暗記カードで効率化を図る学習スタイルが有効です。一方、学生や時間を比較的確保できる方は、過去問演習を中心としたアウトプット重視の学習が効果的です。初学者では、テキストによる基礎固めに加えて、問題の解き方や思考プロセスを段階的に身につけていく学習が望まれます。(社会人400〜500h、学生300〜400h、初学者500h以上)
過去問や模擬試験を利用することで、理解とスピードを同時に鍛えることが可能です。例えば、テキストで基礎を学んだ後に過去10年分に挑戦し、解答解説の理解を深めつつ、間違えた問題の理由を明確にする復習法が効果的です。(過去問題を繰り返し、解答過程も理解) また、試験前には模試を受けて時間配分や実戦力を確認し、弱点分野を重点的に強化する流れが合格につながりやすいです。
さらに、科目ごとの重点対策も重要です。例えば「宅建業法」は出題範囲が広く配点も多いため、優先的に取り組むべき科目です。全体の学習バランスを意識しつつ、得点しやすい科目を確実に押さえることで、効率よく得点力を高められます。
受験を検討する方へ伝えたい全体のイメージ
宅地建物取引士試験(宅建試験)は、学歴・年齢・性別・職業を問わず、日本国内に居住していれば誰でも受験できます(ただし未成年者や成年被後見人などは、合格後も登録できない場合があります)。この受験のしやすさは、受験者数を増やし、結果として合格率を低めにしている要因の一つです。
初学者や社会人の方にとっては、業務経験や法令知識の有無で準備姿勢に違いが出ます。初学者の方は、宅建業法や民法改正事項など基礎知識の丁寧な理解が不可欠です。一方、社会人の方は業務経験がある分野に重点的に絞り、効率的に学習時間を確保する戦略が有効です(登録講習を受けて「その他の法令等」科目の一部(5問)が免除される制度もあります)。
また、宅建試験は絶対評価ではなく相対評価です。合格基準点は年度によって異なり、近年は概ね36点前後(50点満点中)が目安で、合格率は15~18%程度です。つまり、「何点取れれば合格」というより、「他の受験者と比べて上位15~18%に入る」ことが必要です。
出題傾向にも変化が見られます。民法改正に伴う新傾向問題や応用力を問う出題が増え、過去問だけでは通用しない傾向が強まっています。統計問題は毎年1問ですが、最新の統計データから出される傾向が強く、直前のデータ確認が重要です。
これらのことを踏まえ、受験準備ではまず「誰でも受験可能な制度」であることによる競争の激しさを理解し、立場に応じた学習戦略(学習時間の確保、登録講習の活用、過去問+応用問題演習)を基盤に、最新傾向への対応も加えた対策が不可欠です。
以下に、受験者別に押さえておきたいポイントを整理しました。
| 受験者タイプ | 主な準備ポイント | 対策の重点 |
|---|---|---|
| 初学者 | 基礎知識の理解(宅建業法・民法など)、学習スケジュールの確保 | 過去問+応用問題、統計データの直前チェック |
| 社会人 | 学習時間の工夫(通勤時間など)、登録講習による免除活用 | 得意分野の強化、模擬試験でスピード重視の練習 |
| 共通の注意点 | 相対評価であることの理解、合格ライン(36点前後)の意識 | 安定得点分野の確保と最新出題傾向への対応 |
まとめ
宅地建物取引士試験は合格率が低く、他の国家資格と比較しても決して簡単ではありません。出題形式や科目ごとの傾向、毎年変動する合格点など、対策には計画性が重要です。効率的な学習方法としては、過去問演習や模試の活用、科目ごとのバランスを意識した勉強がおすすめです。初学者や社会人でも、正しい準備と最新の情報を踏まえて取り組めば合格は十分可能です。難易度を正しく把握し、一歩ずつ着実に学習を進めていきましょう。

